日立がインド決済市場に挑む、現地の商銀最大手とタッグ
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2018/10/30 10:33
金雪莱
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日立製作所は2018年10月29日、インド最大の商業銀行であるインドステイト銀行(State Bank of India)の決済サービス子会社に出資することで合意したと発表した。まずはキャッシュレス決済の加盟店開拓事業に参入。新たな決済システムの基盤開発も視野に入れる。インドで急速に盛り上がるキャッシュレス決済ニーズを取り込み、東南アジアなどの新興国にも広げたい考えだ。
インド子会社の日立ペイメントサービス経由で、インドステイト銀行の100%子会社SBI Payment Services(SBI-PSPL)に出資し、同行との合弁会社とする。日立ペイメントサービスの出資持分は、約26%。SBI-PSPLは、デビットカードやクレジットカード、QRコード決済に対応したPOS端末を導入することで、キャッシュレス決済の加盟店開拓事業を手掛ける。今回の出資を通し、日立も同事業に新規参入する格好だ。
将来的にはインドステイト銀行と共同で、キャッシュレス決済を支える新たなシステム基盤の構築に乗り出す計画だ。日立が保有するビッグデータ解析やAIに関する技術を活用し、決済データの分析機能などを実装するとみられる。
インドステイト銀行は、4億2000万の顧客を抱えるインド最大手の商業銀行。国有銀行でありながら、インドの中でもデジタル戦略に積極的な銀行として知られる。「YONO」というスマートフォンアプリをリリースしており、多岐にわたる金融サービスに加え、チケット予約などの生活関連サービスを一つのアプリで提供。銀行の枠におさまらないサービスラインアップをそろえている。
インドは、国を挙げて金融サービスの高度化を推進中だ。国民IDネットワーク「Aadhaar」を構築して本人確認のハードルを下げることで銀行口座の開設を推進。政府が主導する形で、モバイル決済に特化した決済プラットフォーム「UPI(Unified Payment Interface)」も構築済みである。
民間ではQRコードを活用した決済サービス「Paytm」が3億人の利用者を抱えるなど成長を続けており、同社の技術はソフトバンクとヤフーが新設した決済子会社にも輸出している。
日立はインドステイト銀行と組み、決済サービスで先行するインドで、先進的な決済システム基盤の技術開発に取り組む。インドでのノウハウや成功事例を蓄積し、東南アジアなどにも事業を広げたい考えだ。

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根源:
nikkeibp
編集者: きんせつらい